コンテンツに対する一考察。そしてお別れの辞…
前回の更新より2週間ほど時間が経ってしまっていました。仕事が多忙を極めたのも一因でしたが、自分の中で書く「何か」が湧いてこなかったというのが正直な原因です。
いろいろ考え抜いた末での結論として、大変恐縮ながら本エントリーを当ブログの最後の更新とさせていただきたいと思います。今まで、本当にありがとうございました。
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2/11に「俺たちに満腹はない」というものを書いた際、自分も含めた多くの人たちが「コンテンツの飽食期」にいる現状をあらためて認識することとなりました。
個人におけるパソコンや携帯電話といった情報機器は、コンテンツを消費するデバイスだと言い切ってしまってもいいでしょう。長い時代その地位にあったテレビも、今やその範疇にあるデバイスの一つに過ぎません。
このことは、コンテンツの中身の定義付けがこれまでと大きく変わってしまったことをも意味します。
本は本屋で買ってきて読むもの、テレビは家に帰ってスイッチをつけてみるもの、音楽はCDを買って聴くもの、映画は映画館やDVDで楽しむもの…、これまでのコンテンツは「場所」や「モノ」といった実体や空間が伴っていたので、同列に考える機会はあまりありませんでした。
しかし、今は上記のほぼ全てがパソコン上で同じように楽しめる時代。コンテンツを提供する側は、上記全てのコンテンツの中から消費者に選ばれる競争にさらされているのです。
それらを念頭において、各々のコンテンツのオンライン上での「価格設定」を俯瞰してみると、未だに既存の考え方から脱皮できていない業界も見受けられます。
例
音楽:iTunes Music Store
…1曲あたり150円・200円
文庫:ebookjapan
…角川文庫は1冊あたり400円〜600円弱
※文庫系は著作権が切れた作家の作品が多いですね…
そういった作品は青空文庫で無料で読めるものが多くあります
コミック:Yahoo!コミック
…だいたい294円。Mac不可
TV番組:アニメ(BANDAICHANNEL)
…1話あたり200円〜400円 ただし視聴期限あり(7日前後)
※アニメは意外と積極的ですね。ただしMac不可
コンテンツがオンライン化されていった場合の値段設定について、私は「消費時間」という観点からの検討も重要になっていくのではないかと考えるに至っています。コンテンツそのものを賞味し尽くし、廃棄しても構わないと思えるまでの時間がどれだけかかるか。作り手の側からすれば、制作費・期間などを考えるとそういった指標で判断されるのは受け入れがたいかと思われますが、オンラインコンテンツはいわば「消費者の時間をいかに自分たちに振り向けさせるか」という闘いです。そこにはもう既に、無料のコンテンツ(個人のブログやホームページ、ニュースサイト、PodcastやVideocast)が十分に市民権を得ているという現実を直視する必要があるということを忘れてはなりません。
本当は、その「消費時間」という観点から各コンテンツの特性を踏まえた価格設定の提言・公式化をしてみたかったのですが、残念ながら私の技量では手に負えませんでした(苦笑)。iTMSは、音楽という特殊なコンテンツの成功例です。音楽は他コンテンツとの排他性も少なく、1つのコンテンツ(曲)に対する消費時間が長いんですよね。1曲5分で150円と考えると1時間あたり1800円にという計算になりますが、実際に楽しむ「消費時間」で希薄化するとかなりリーズナブルな値段に落ち着くように個人的には感じられます。
このあたりについては、ご興味を抱いた方の今後の研究に委ねさせていただきます…(笑)。
ただ、こういったオンラインコンテンツが様々な価格体系を持って乱立し合う現状は、パソコンや携帯電話が普及した現状においては遅きに失しているとも言えます。
私は、遠くない将来に各コンテンツを全て統合したオンラインダウンロードサイト&アプリケーションの仕組と、サブスクリプションサービス(定額制)が提供できるところが現れたときこそ、本当の意味でのインターネットによる"革命"と呼べるのではないかと思っています。
実は1月のMacExpo前の噂では、Appleが.Macサービスを利用し、映画のオンラインサービスを始めるのではというものがありました。
そのアイディアはかなり唸らされるほどのもので、インターネット上の自分のフォルダに、購入したコンテンツの情報のみを保存しておくというものでした。つまり、コンテンツ自体は、インターネットに接続した状態でストリーミングで楽しむというものです。
ファイル自体は自分の手元にないのですから、パソコンを変えても、データがクラッシュしても、他のマシンからログインさえできれば自分の購入コンテンツを楽しむことができます。提供者としても、コンテンツを違法に配られる心配が減ります。
聞くところによると、来る2/28日にApple社はクパチーノの本社で行なう謎の発表の招待状を配ったとして、様々な憶測が生まれているとか。
現在のところは、iPodの周辺機器やIntelチップを積んだiBookの後継機の発表ではとする説が有力のようですが、私にはそういうコンシューマ向けの発表をするにはずいぶん地味な場に思えます。記憶では、Apple本社で行なわれた発表は過去にはXServeの発表だったはず。
新しいサービスの話がひょっとして…、されると嬉しいですね。
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さて…
思い起こせば、当ブログの最初のエントリーが2004年の7月7日でした。それから約1年半が経ったことになります。
当時は結婚を10月に控え、不安と浮かれ気分とが入り交じっていたものでした。忙しくも、書くことで気がまぎれていたのかもしれません。
広大なこのインターネットの世界で、自分の書く記事に目を留めていただける方などいるのだろうかと訝しんだものでしたが、多くの方々とのご縁に恵まれ今日まで続けることができました。コメントやトラックバックなど、自分の書いたことに対する反応がいただけなかったら、もっと早くに挫折してしまっていたことでしょう。
お一人お一人にはあらためて心より厚く御礼申し上げます。与えていただきましたお力に較べれば、何もお役に立てなかった身ではありますが、皆様の今後のご活躍を心から祈念してやみません。
また、末筆になってしまいましたがApple-Styleを運営されておられます新種林檎研究所所長様に、この場を借りてお礼とご挨拶をさせていただきたいと思います。
Macユーザの方々が多くご覧になるサイトに、当ブログの記事を多くご紹介いただき、大勢の方に読んでいただくことができました。
以前から雑誌などで存じ上げておりましたので面映ゆく恐縮する一方、馴れ合いになることがないよう、"挑む"気持ちで記事を書くことができました。お読みいただいた上でご紹介いただけているのでは、という手応えを感じながら続けられたことが、望外の喜びです。
深い知識、洞察力や美しい感性をお持ちになっている方々がMacユーザには数多くいらっしゃいます。Appleに驚かされる楽しみが、新しくMacの世界に足を踏み入れる方々に、より多く伝わりますように…。
ありがとうございました!
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