« 女のひと言 | Main | 遺伝子を紡ぐ指 »

2006.02.27

コンテンツに対する一考察。そしてお別れの辞…

 前回の更新より2週間ほど時間が経ってしまっていました。仕事が多忙を極めたのも一因でしたが、自分の中で書く「何か」が湧いてこなかったというのが正直な原因です。

 いろいろ考え抜いた末での結論として、大変恐縮ながら本エントリーを当ブログの最後の更新とさせていただきたいと思います。今まで、本当にありがとうございました。

─────────────────────────────
 2/11に「俺たちに満腹はない」というものを書いた際、自分も含めた多くの人たちが「コンテンツの飽食期」にいる現状をあらためて認識することとなりました。

 個人におけるパソコンや携帯電話といった情報機器は、コンテンツを消費するデバイスだと言い切ってしまってもいいでしょう。長い時代その地位にあったテレビも、今やその範疇にあるデバイスの一つに過ぎません。

 このことは、コンテンツの中身の定義付けがこれまでと大きく変わってしまったことをも意味します。

 本は本屋で買ってきて読むもの、テレビは家に帰ってスイッチをつけてみるもの、音楽はCDを買って聴くもの、映画は映画館やDVDで楽しむもの…、これまでのコンテンツは「場所」や「モノ」といった実体や空間が伴っていたので、同列に考える機会はあまりありませんでした。

 しかし、今は上記のほぼ全てがパソコン上で同じように楽しめる時代。コンテンツを提供する側は、上記全てのコンテンツの中から消費者に選ばれる競争にさらされているのです。

 それらを念頭において、各々のコンテンツのオンライン上での「価格設定」を俯瞰してみると、未だに既存の考え方から脱皮できていない業界も見受けられます。


 音楽:iTunes Music Store
  …1曲あたり150円・200円

 文庫:ebookjapan
  …角川文庫は1冊あたり400円〜600円弱
   ※文庫系は著作権が切れた作家の作品が多いですね…
   そういった作品は青空文庫で無料で読めるものが多くあります

 コミック:Yahoo!コミック
  …だいたい294円。Mac不可

 TV番組:アニメ(BANDAICHANNEL)
  …1話あたり200円〜400円 ただし視聴期限あり(7日前後)
   ※アニメは意外と積極的ですね。ただしMac不可


 コンテンツがオンライン化されていった場合の値段設定について、私は「消費時間」という観点からの検討も重要になっていくのではないかと考えるに至っています。コンテンツそのものを賞味し尽くし、廃棄しても構わないと思えるまでの時間がどれだけかかるか。作り手の側からすれば、制作費・期間などを考えるとそういった指標で判断されるのは受け入れがたいかと思われますが、オンラインコンテンツはいわば「消費者の時間をいかに自分たちに振り向けさせるか」という闘いです。そこにはもう既に、無料のコンテンツ(個人のブログやホームページ、ニュースサイト、PodcastやVideocast)が十分に市民権を得ているという現実を直視する必要があるということを忘れてはなりません。

 本当は、その「消費時間」という観点から各コンテンツの特性を踏まえた価格設定の提言・公式化をしてみたかったのですが、残念ながら私の技量では手に負えませんでした(苦笑)。iTMSは、音楽という特殊なコンテンツの成功例です。音楽は他コンテンツとの排他性も少なく、1つのコンテンツ(曲)に対する消費時間が長いんですよね。1曲5分で150円と考えると1時間あたり1800円にという計算になりますが、実際に楽しむ「消費時間」で希薄化するとかなりリーズナブルな値段に落ち着くように個人的には感じられます。

 このあたりについては、ご興味を抱いた方の今後の研究に委ねさせていただきます…(笑)。

 ただ、こういったオンラインコンテンツが様々な価格体系を持って乱立し合う現状は、パソコンや携帯電話が普及した現状においては遅きに失しているとも言えます。

 私は、遠くない将来に各コンテンツを全て統合したオンラインダウンロードサイト&アプリケーションの仕組と、サブスクリプションサービス(定額制)が提供できるところが現れたときこそ、本当の意味でのインターネットによる"革命"と呼べるのではないかと思っています。

 実は1月のMacExpo前の噂では、Appleが.Macサービスを利用し、映画のオンラインサービスを始めるのではというものがありました。

 そのアイディアはかなり唸らされるほどのもので、インターネット上の自分のフォルダに、購入したコンテンツの情報のみを保存しておくというものでした。つまり、コンテンツ自体は、インターネットに接続した状態でストリーミングで楽しむというものです。

 ファイル自体は自分の手元にないのですから、パソコンを変えても、データがクラッシュしても、他のマシンからログインさえできれば自分の購入コンテンツを楽しむことができます。提供者としても、コンテンツを違法に配られる心配が減ります。

 聞くところによると、来る2/28日にApple社はクパチーノの本社で行なう謎の発表の招待状を配ったとして、様々な憶測が生まれているとか。

 現在のところは、iPodの周辺機器やIntelチップを積んだiBookの後継機の発表ではとする説が有力のようですが、私にはそういうコンシューマ向けの発表をするにはずいぶん地味な場に思えます。記憶では、Apple本社で行なわれた発表は過去にはXServeの発表だったはず。

 新しいサービスの話がひょっとして…、されると嬉しいですね。

─────────────────────────────
 さて…

 思い起こせば、当ブログの最初のエントリーが2004年の7月7日でした。それから約1年半が経ったことになります。

 当時は結婚を10月に控え、不安と浮かれ気分とが入り交じっていたものでした。忙しくも、書くことで気がまぎれていたのかもしれません。

 広大なこのインターネットの世界で、自分の書く記事に目を留めていただける方などいるのだろうかと訝しんだものでしたが、多くの方々とのご縁に恵まれ今日まで続けることができました。コメントやトラックバックなど、自分の書いたことに対する反応がいただけなかったら、もっと早くに挫折してしまっていたことでしょう。

 お一人お一人にはあらためて心より厚く御礼申し上げます。与えていただきましたお力に較べれば、何もお役に立てなかった身ではありますが、皆様の今後のご活躍を心から祈念してやみません。

 また、末筆になってしまいましたがApple-Styleを運営されておられます新種林檎研究所所長様に、この場を借りてお礼とご挨拶をさせていただきたいと思います。

 Macユーザの方々が多くご覧になるサイトに、当ブログの記事を多くご紹介いただき、大勢の方に読んでいただくことができました。

 以前から雑誌などで存じ上げておりましたので面映ゆく恐縮する一方、馴れ合いになることがないよう、"挑む"気持ちで記事を書くことができました。お読みいただいた上でご紹介いただけているのでは、という手応えを感じながら続けられたことが、望外の喜びです。

 深い知識、洞察力や美しい感性をお持ちになっている方々がMacユーザには数多くいらっしゃいます。Appleに驚かされる楽しみが、新しくMacの世界に足を踏み入れる方々に、より多く伝わりますように…。








ありがとうございました!

※本ブログは当面の間、削除せずに残しておく予定です

|

« 女のひと言 | Main | 遺伝子を紡ぐ指 »

Comments

なんと申しましょうか...
寂しくなります。

Posted by: あらびー | 2006.02.26 at 11:02 PM

ビックリしてしまって今は言葉を思いつきません。
頭の中が真っ白になってしまいました。(T.T)
Solid Inspiration Blogさんは、私にとって目標でした。
あんな素敵な記事をいつか書きたいと・・・

ごくろうさまでした。
blogを閉鎖しなくても、また気が変わって書きたくなったら戻ってきてください。
ホントに感謝しています。m(__)m

Posted by: Metal | 2006.02.26 at 11:22 PM

知り合ったばかりなのに寂しくなりますね・・・

その決断に異を唱えるわけではありません。
考えた末の決断だろうし。

もしも、また何らかの形でブログに戻ってきたらまた声をかけてくださいな。

Posted by: 390X | 2006.02.26 at 11:29 PM

こんにちは。
正直、とても驚いています。

「俺たちに満腹はない」の視点にはうなりました。これからの論評を期待していたのです....
今さら遅いのかもしれませんが、不定期でも続けることはできませんか?
節目節目にでもアップしてくださればそれを楽しみに待つことができそうなんですが。

Posted by: るき | 2006.02.26 at 11:34 PM

正直、もしかしたら・・・という予感めいたものはあったのです。
Solidさんとの出会いで生まれたものがたくさんありました。Solidさんにリンクを貼っていただいていることが、密かに自慢でもありました。
寂しくなります。
しばらく記事を残していただけるようなので、何度も何度もこの記事を読みつづけていきたいと思います(一回では飲み込めないので・・・って結局オチがつく)
本当にありがとうございました!!

Posted by: コングBA | 2006.02.26 at 11:37 PM

以前 「書き尽くした」と書かれた時から
この日が来るのが そう 遠くないのではと
感じておりました。
Solid さまの テンポある文体に ぞっこん
惚れておりましたので 大変寂しいです。

ひとつのコンセプトで書き続けることの難しさは容易ではありませんもの。。。
そう思いつつも また 違う形の内容で
再出発されないかなーと
密かに お待ち申し上げております。

取り敢えずは ひとつの完結。
お疲れ様でした。
そして 楽しいブログを有難うございました。

Posted by: 冬薔薇 | 2006.02.27 at 12:01 AM

マックユーザーとして、 Solid Inspiration Blog さんの記事を楽しみにさせていただいき
そして多くのマックユーザーの人に、その記事を紹介するのが私の喜びでした。

でもその喜びが消えてしまうのは、とても淋しいかぎりです。
私が Solid Inspiration Blog さんの記事を紹介することが重荷になっていて
サイトの休止の原因の一つになってしまったんじゃあないかとおもっています。
もしそうだとしたら、大変申し訳ありませんでした。
(でも、再開されたら懲りずに又紹介してしまうかもしれませんが。^ ^; )

では、本当に長い間、楽しいブログをありがとうございました。
そして、お疲れさまでした...。

Posted by: Applele@所長 | 2006.02.27 at 01:52 AM

とても悲しいです。
でもSolid Inspirationさんが深く掘り下げてくれた記事のお陰で、更にMac愛用者が増えた事と思います^^
何よりも一つの事にテーマを絞って書くことの難しさ、これは並大抵の事じゃ出来ることではありません。そういった意味でSolid Inspirationさんの書かれる記事にはいつも唸らされていました。
私がまだblogを始めたばかりの頃、私もいつかはこんな記事が書けるようになりたい、そう思っていたのも事実です。
もしまた書きたいテーマが見つかったら、、、無理強いはできませんけど、思う事があったなら、戻ってきて欲しい、と希望してみたりもします^^

本当にお疲れさまでした。そして、素晴らしい記事をありがとうございました。
幾らお礼の言葉を並べても足りませんが、、、

Posted by: ★TAK | 2006.02.27 at 02:38 AM

私はMacユーザーではなかったので敢えてコメントは控えていたりもしたのですが、それでもSolid Inspirationさんがお書きになるMac関連の記事までも興味深く拝読していました。
先へ先へ、もっと深く、と。
そうした洞察力や探求心というものは、ご周知かとは思うのですが私は嫌いではなく、そうした記事を通じて、Solid Inspirationさんのお人柄をも見ていたように思えます。
こちらのブログでも、最近しばらく更新がなかったのを寂しく思っていただけに、これから先の更新がされないというのが残念です。
しかしそれは個人のブログ。書きたいという衝動なしには書けないことを、私もよく知っています。
また書きたい。そんな衝動にかられたときに始めれば良いのだと思います。
そして、また別の場所で別のブログを始めることがあれば、是非ともご連絡いただければ嬉しく思います。
こちらのブログの、そしてSolid Inspirationさんのいちファンとして、しっぽを振ってはせ参じます(笑。

最後になりましたが、長い間お疲れさまでした。お仕事もお忙しそうですので、お体に気をつけてお過ごしくださいね。
・・・って、素敵な奥様がいらっしゃるSolid Inspirationさんの健康への気遣いは野暮というものですね(笑。

Posted by: Azumi | 2006.02.27 at 08:48 AM

誰よりも深く物事を考えているSolidさんの出した結論なので、とやかくは言いません。
ただ単純に、一人の仲間としてさみしいなあと。
でも、これからもご意見番として我々を見守ってください。

Posted by: みやりん1966 | 2006.02.27 at 09:06 PM

そうだったのですか…。
旅行や奥様のお話がお気に入りでした。
お疲れ様でした。楽しいブログをありがとうございました。

Posted by: may-ogino | 2006.02.27 at 11:24 PM

「最後のエントリー」のお言葉、身にしみて感じております。

でも、Solid Inspiration様の貴重なエントリー、そして様々な意見交換が出来た事は、生み出したものの単純な「コンテンツの消費」ではありません。無形ではありますが、明らかにこうした流れから逆行しているものだと考えます。

喩えが些か飛躍し過ぎでは有りますが、エントロピーが果てしなく増大し続ける世界の摂理の中で、人という存在は、逆のベクトルを持っている。この事にとても似ている様に感じています。これは奇跡と言うべきものかもしれません。

だれかが、頭の中に有るものを書き出すという作業をするだけで、こうした「奇跡」は起こせます。また「なにかの思い」に突き動かされた時は、フラリと帰って来てください(^_-)

Posted by: Algernon | 2006.02.28 at 12:29 AM

淋しくなります。。。
平凡な私達母娘に、すてきな出会いをいただきました。
本当に本当にありがとうございました。

Posted by: クレオ | 2006.03.02 at 08:33 PM

えーっ!
久しぶりに巡回してきたら、いきなりお別れの言葉が・・・うぅ。
さみしいやんかぁ。
でもまぁ無理してブログを続けるのも意味が無いとは思うし。
自分で書かなくても、たまには巡回して、近況報告の残してよね!

ブログに充ててた時間を、全部奥様のために使ってあげてね!

Posted by: としちゃん | 2006.03.11 at 10:40 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/42074/8851442

Listed below are links to weblogs that reference コンテンツに対する一考察。そしてお別れの辞…:

» 私の目標でした [林囓(リンカジ)Switch time to Mac !]
Solid Inspiration Blogさんが、更新を止められるそうです。 記事:コンテンツに対する一考察。そしてお別れの辞… 記事の内容で読ませる数少ないblogさんです。 ご存じの方も多いでしょうが、この林囓は、Solid Inspiration Blogにとてもお世話になっておりまして、ショー..... [Read More]

Tracked on 2006.02.26 at 11:41 PM

« 女のひと言 | Main | 遺伝子を紡ぐ指 »