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2006.01.31

無機質な蜃気楼



ハイビジョン。



 言わずと知れた、家電メーカの花形商品。しかし、それはまた、新しいインフラの種を蒔いて新規需要を刈り取るというビジネスモデルの"最後の一葉"となるように思われて仕方がありません。

 薄型テレビとして普及している液晶方式のハイビジョンテレビは、見方を変えれば大型のパソコンディスプレイと同じです。

 我が家で先日購入したVictorの37インチテレビにはパソコン用のVGA端子がありました。メーカのマニュアルには1024×728しか対応していないとありますが、それ以上の解像度でも一応表示は可能です。残念ながらこのモデルはVGA入力時は4:3でしか表示できませんが。




 そこで、思い切ってHDMI端子とDVI端子の変換ケーブルを用いてPowerBookと接続したところ、上下左右は一部欠けてしまったものの(メニューバーやドックが見えなくて少々困りますが(苦笑))、ディスプレイ全体に画面を表示できました。

100 0472

音もテレビから出力(クリックして動画)






 私がそこまでMacと大画面液晶テレビとの接続にこだわったのには理由があります。




Front Row00-1

Front Rowは果たしてリビングのテレビを意識したものなのか否か





 昨年発表されたiMacG5以降、新規モデルにはFront Rowがインストールされています。私も最初はそれがリビングに進出するための布石かと思っていましたが、現在のところ、iMac/PowerBookといった「ディスプレイ内蔵型」モデルでしかこのFront Rowは楽しめないことになっています。つまり、Appleは一度たりとも「Front RowがリビングのテレビにMacを繋ぐためのアプリケーション」だとは発していないのです。
※一応外部映像出力は可能ですが







 で、試してみました



100 0473

37インチテレビにて(クリックして動画)






 Front Rowの中で、以前から画期的だなぁと思っていたのが上記の「映画予告編」。フルスクリーンで映画の予告編が見られるのですが、結果は驚くべきものでした。

 大画面テレビでも、十分に視聴に耐えます。いやそれどころか、私の見立てでは




DVDより綺麗かも





 Front Rowで見られる動画はモノによってはH.264形式の480pで配信されているようですね。画質が粗いなぁと思うものはMPEG4の"Large"でしょうか…。
※上記の動画はここの480pの画質でした

 大画面テレビで観て感じたことですが



  • どんなにクオリティが高い縦横比4:3の動画より、ワイド画面で得られる満足の方が遥かに上
  • フレームレートが低いと大画面テレビでは非常に気になる
  • 大画面テレビのスピーカは結構音がいい




 Apple(もしくはMac)は既にリビングを射程圏内にとらえています。いつ、どのようにトリガーを引くか、それだけの問題でしょう。現在のiTMSでのVideo配信は、iPodを主にしているために控えめな解像度ですが、その制約が何かのきっかけで外れたりしたら…。

 Front Rowが"リビングへの"動画配信の実験場だった、と後に言われても驚くには値しないかもしれませんね。
※ストリーミングでこのクオリティが出せるかという課題はまだありますが



 さて、テレビ放送とパソコンは、かつてジョブズがかつて言った通り、相反するコンテンツだと、ここ数週間で実感させられました。リビングのテレビを見ながらノートパソコンを開いていても、両方は同時には楽しめません。
#更新が減った一つの理由かも(苦笑)

 一方で、パソコンの中に入ってしまった動画コンテンツならば、ある程度パソコンと同時に楽しめるんです。画面の片隅で観るもよし、フルスクリーンにしてじっくり観るもよし…。結局は、「放送」という送り手側の都合(時間や見方)に合わせるのが苦痛になってきてしまっているんです。

 日本は総務省が旗を振ってテレビのデジタル化とハイビジョン化を推進している真っ最中。

 ハイビジョンテレビもハイビジョン番組も、たしかに悪くはありません。

 でも、放送という"コンテンツとしての仕組"は20世紀の遺物のままです。消費者がオンデマンドで見たい番組をネット経由で選び、パソコンで管理する、そんな時代になったらハイビジョンテレビはただの周辺機器の一つになってしまうのではないでしょうか。次世代ディスクに至っては…?



 先日、テレビから流れてきた、とある番組に耳目を奪われました。故・夏目雅子さんが三蔵法師を演じ、堺正章さんが孫悟空だったあの伝説の「西遊記」。
※地デジに入ってきたテレビ埼玉で土曜日の午後に放送中
 東京MXテレビでは日曜日20:00〜

 エンディングテーマはゴダイゴの名曲「ガンダーラ」ですが、その歌詞は、テレビを買ってから感じていた、私の違和感をものの見事に言葉にしてくれました。

そこに行けばどんな夢も かなうというよ

誰もみな行きたがるが 遥かな世界

その国の名はガンダーラ 何処かにあるユートピア

どうしたら行けるのだろう 教えて欲しい

In Gandhara, Gandhara

They say it was in India

Gandhara, Gandhara

愛の国 ガンダーラ




 私の脳裏に浮かんだのは、楽園を求め砂漠を無言で進む家電メーカの姿。

 残念な事ですが、彼らの向かっている"約束の地"は古の都・桜蘭。栄華を誇った歴史とともに、一塵の幻と化して歴史の中に去りました。

 哀しい隊列に思えたのは私だけでしょうか…。



参考:
 英語版のガンダーラがiTMSにあります

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Comments

もしかしたら布石なのかもしれない、とSolidさんの文章を読んで思ってしまいました。
好きな時に好きな番組を観る、という事が現在の「ビデオに録って、好きな時間に観る」こと以上にはっきりとした形になって現れてくる時代がやってくるのかも、、、

Posted by: ★TAK | 2006.01.31 at 03:15 AM

Front Rowに関しては、私も注目しています。
それにしても、そんなに大きいモニタでもH.264だと綺麗に映るんですね。
(Apple恐るべし)
私は、テレビをほとんど見なくなりました。
面白い番組がないというのもありますが、その原因の1つに好きな時間に見たい番組を見ることができないのもあります。

せっかくデジタル放送になるのですから、視聴者が見たいときに見たい番組を見ることができるようにして欲しいですよね。
CSのように、同じ番組を繰り返し放送する等のやりかたもあると思います。
そうすれば、垂れ流しできないので、番組の質も向上すると思うのですが・・・

Posted by: Metal | 2006.01.31 at 11:04 AM

はじめまして。

コングさんところから飛んできました。

大型液晶・・・私はシャープの液晶製造工場で働いていました。

当時は20インチくらい1枚が原価5~6万円くらいでした。

今はすごく価格破壊が進んでいますね(汗)

Posted by: 390X | 2006.01.31 at 12:25 PM

うーん。
今日の記事にはうなされました。
パソコンがリビングに入り込むことにより、
今の放送事業のビジネスモデルが根底から覆される、
そんな予感がしました。(公共放送のNHKを除く)
もう殆どテレビ見ないから個人的にはかまわないのですけど。

制約というのは多分回線の太さ(ブロードバンドかナローバンドか)
だと思います。光回線が各家庭に入り込んだら・・・
その時こそパラダイムシフトが起きるのかもしれません。

Posted by: あらびー | 2006.01.31 at 10:00 PM

>★TAK様
Macに限らず、パソコンとインフラにはテレビコンテンツ・映画コンテンツを飲み込むポテンシャルを完成しつつあるように思えます。
あとは、どこが先陣を切るのか、ということなのかもしれませんね。

>Metal様
先日、大橋巨泉さんのインタビューで「インテリや金持ちはもうテレビを見てなどいない」というコメントがありました。
http://nb.nikkeibp.co.jp/free/tvwars/interview/20060127005218.shtml

テレビも岐路に来ているのですから、中身や放送形態についても脱皮しないといけないんですよね…。

>390X 様
はじめまして。コメント、どうもありがとうございます。
価格破壊、本当にそう思いますね…。10年前はカラー液晶ってとても高級品だったのに…。

でも、台湾や韓国はさらに安いんですよね。すごい時代になりました…。

>あらびー様
ビデオの登場が「いつでも」を生んだはずだったのですが、その先へ進むどころかテレビ業界を含めた家電メーカはデジタル化を期に後退しようとしているように思われてなりません。
ハードではなく、ソリューション。iPod+iTMSのビジネスモデル以来、何度も指摘されていることなんですが、日本はまだまだ立ち遅れたままなのでしょうか…。

Posted by: Solid Inspiration | 2006.02.01 at 11:41 AM

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