大いなるデタントの記念碑
毎年末に発表されるその年を表す世相漢字。昨年は「愛」だったとか。それにならって今回のMacWorldExpoにおけるApple社CEOスティーブ・ジョブズの発表を私が表すのであれば…
「堅」
私にとっては”想定の範囲内”に収まった発表内容の「手堅さ」。iPodの売れ行きやAppleStoreの右肩上がりの「堅調さ」。さらに言えば、全てのMacを年内にIntelプロセッサへ移行するという”ハードウェア”にも掛けて…。
※文字通りの単語「hard」(“一生懸命”の意も含む)が一番近いと思いますが(笑)
1月のMacWorldExpoにおける基調講演の”雰囲気”は、その1年を象徴することが多いものです。昨年の基調講演ではMac miniとiPod shuffleといった”あったらいいけどまさかAppleは出さないよね”といったハードで話題をさらい、その後1年間のサプライズの嵐を暗示してくれました。今思えば、昨年はまさに「驚」。
その時と比較すると私の中では正直言って、刺激が少ないのです(苦笑)。 特に今回、ほとんど「メディア配信」に関する展望の「ニオイ」が感じられなかったことが気になりませんか?マスコミやアナリストたちも少々肩透かしを喰ったようですが、とはいえ火のないところに煙は立たず。MacやiPodとは異なる”第3の柱”としての発表の舞台を期待しています。
さて、ではそれぞれの所感など…。
- iPodのFMラジオ内蔵リモコン
- 個人的に気になった純正品。リモコンがというより、「外からのメディアを再生させる仕組み」というiPodの可能性を示してみた一つの例示に思えます。iPod側の対応が必要ではありますが、ワンセグ放送のようなデジタル放送の受信端末も技術的にはやれないこともないのでしょうか?
iPodはshuffleを除くと、iPod nano/5G iPodとそれ以前とで「壁」を感じてきましたね(苦笑)。それまで、新機能については旧機種もファームウェアのアップデートで随時追加されてきましたが、比較的容易に対応できそうに思える歌詞の表示機能が追加されないあたり、一抹の寂しさがあります。 - iLife ‘06のリリース
- Intelプロセッサでも動作するユニバーサルバイナリ化と共に、充実した機能追加も行なわれました。今回の一番の真打は実はこれでしょう。コンセプトは明確。これまで、クリエイティビティを刺激し、クオリティの高い作品を作りやすいソフト群であったiLifeに「Webへの直結」という窓口を強化させるというもの。言うなれば「まだ見ぬクリエイターたちへの緋色の絨毯」といったところでしょうか。
GarageBandを用いたPodcast製作、iPhotoが提案するPhotocast、iMovieで生まれてくるVideocast、そしてようやく出てきたWebページ製作ツールのiWeb。そこには、やっぱりクリエイターの真ん中にはMacがいる、というAppleらしいメッセージが感じられます。
#私は自分の姿や声を公開する勇気はありませんけれども…(苦笑) - Intelプロセッサを搭載したiMacとMacBook Pro
- 予定を半年ばかり早めたことに対する驚きと賞賛の声が聞こえてきますが、早まるという噂は以前から出ていましたし、混乱しやすい過渡期を少しでも短縮して乗り切りたいAppleとしては当然のことだったかもしれません。
それよりも、IntelとAppleアツアツぶりに目が行ってしまいました(笑)。
なんとIntelの社長がコスプレで登場ですよ!よりによって、「Intelのチップは熱くて焼けちまうよ!」とかつて揶揄されたときの格好でわざわざ出てくるなんて!
ジョブズを見つめる目つきに
なぜかちょっと赤面しかけた (恥)
そして、Appleが作ったCM(是非ムービーを見てください)がカッコいい!しかも、今回はIntelを思いっきりフィーチャーした映像ですよ!
まさに大いなるデタント(宥和)ですね…。
この両社は何かとてつもなく大きなことを狙っているように感じられてなりません。なんというか、「セクシープロダクト」というコンセプト(とにかく魅力的な製品という意味で)を掲げて今にも走りだしそうな予感が(笑)。
そう、実は冒頭に掲げた「堅」という一字に相応しいのはこの
「堅い絆」
なんですよ。昨年の6月、PowerPCというIBM製のプロセッサからIntel製の製品へと乗り換えるという発表は文字通り「突っ伏す」ほどの衝撃でした。Intel、Microsoftといえば古くからのMacユーザにとっては仇敵でしたからね。
それが、たった半年でこの歓迎ぶりです。常に何か新しいもので魅了させてくれるだろうというAppleへの尽きない期待の表れが、この難局を乗り切ってしまったということです。
今年もまた魅惑されることを願って、この両社の発展を祈りたいと思います。
なお、MacBook Proの細かい部分については、また別に…。
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Comments
忙しい最中に素早いエントリー、感服します。私も昨夜は寝ずに今回の発表を待っていました。もちろんiLife'06はファミリーパックを注文済みです(笑)。このために、先日のHDDクラッシュ以来、iLfe'04を再インストールせずに耐えていたのですから…。次回のMacBook Proに関するエントリーも楽しみにしています。
Posted by: kk@kk | 2006.01.12 09:50 PM
こんにちは。
更新待ってましたヨ。
「堅」というのは言い得て妙、かも(どこかの住職みたいでもありますね)。
iMacとMacBookについても是非コメント書いて下さいね。
Posted by: るき | 2006.01.12 10:57 PM
すごーい・・・・・
「堅」、やはり最初は堅実というものを想像していただけに、最後にやられてしまいました。
オッテリーニ社長のコスプレ、未来が近いというかもうすぐ手に届きそうといった気持ちも表れていそう。インテルとの関係でさらに広がっていくことでしょうね、楽しみですね!
それにしてもすごい・・・・何がってSolidさんのエントリーのグレードが・・・・
Posted by: コングBA | 2006.01.13 09:12 AM
とうとう発表されましたね^^
新しいインテルMacの速度も気になりますが、失望させない性能(というより、むしろ驚愕の性能というべきかも^^;)で発表されただけでも満足です^^
マシンのスペック的には私自身それほど重要視してはいないのですが、この先2世代くらい後には現在使用しているMacの買換え時期がくるころになりますので、それまではインテル搭載機はお預けになるかもしれません(笑)
それよりもMacを使う事の理由が、今回のiLife06でより明確になってきたようにも感じています^^ ハードではなく、OSでも無い、人々の生活の中でMacを使ってどんな生活を送ることができるか、が明確になったと、それが一番の発表だったように感じています^^
ほんと毎回毎回驚きと感動を与えてくれますね、Appleって会社(ジョブズ)は^^
Posted by: ★TAK | 2006.01.13 08:29 PM
>kk@kk様
今回、iLifeがなかなか楽しみですよね。渋谷で帰りに買って帰ろうかと思ったのですが、もう少し待つことにします(笑)。
ただ、iWebの出力テンプレートによっては文字すらも全て画像で出すという仕様らしく失望している人もいるそうですね。
#さすがにそれはまずいですよね(苦笑)
>るき様
お待たせしました(笑)。遅筆なもので、なかなか進みませんが気長にお待ちいただければ幸いです…。って、他にもいろいろなニュースが飛び込んできましたよね!WMPの開発停止は衝撃を受けています。
>コングBA様
読み返すと少々大げさかな…という気もしたのですが、なんとなくそうひらめいたので(笑)。かた-イという字には固、堅、硬、難 と種類があってそれら全てで今回を表現もできるなぁとは思います。
>★TAK様
ハードの進化とソフトの進化がいい勢いでシンクロしてきた気がしますね。この流れに多くのサードパーティもついてきてほしいところです。Appleの力強さはホンモノですね。
Posted by: Solid Inspiration | 2006.01.14 02:35 PM