iPodの"さや(pod)"は何を蒔くのか
昨日の記事に続けて、今日は新しく発表されたiPodについて考察(妄想?)してみたいと思います。
写真を見ると、前モデルよりも横幅が大きくなってしまっているように見えますが、実は高さも幅もこれまでのiPod photoモデルと変わらないんですよね(103.5mmx61.8mm)。あの大きさの筐体は動画再生には小さすぎるだろうと思っていたので素直に驚きです。
今回の発表、 iPodだけに絞ればその最大の意義は「普及が約束されているH.264動画再生機器」です。
音楽再生機としてのiPodの人気は言うまでもありません。前4半期(3ヶ月)では世界で640万台以上が販売されたそうです。その売れ行きは当分揺らぐことがないでしょう。つまり、手軽に動画を見てくれる可能性を持った人がその勢いで増えることになるのです。
映像コンテンツを持っている側からすれば、これこそチャンスの種を蒔いてくれる機器なのではないでしょうか。
私は、このiPodの発表を受けて3つの業種の今後に興味を持っています。
1. デジタルテレビ放送陣営
既に屋外の携帯デジタルテレビ放送としてモバHO!が始まっていることをご存知の方はいらっしゃるでしょうか。放送当初はMPEG4形式だったそうですが、来月あたりから動画のフォーマットがH.264に徐々に移行するようです。また、現在「地上波デジタル」として知られている現行テレビの携帯機器向けデジタル放送である「ワンセグ」もH.264形式で放送されます。
ここからは私の妄想に過ぎないのですが(笑)、両陣営とも今回のiPodには大きく注目しているはずです。どうやって放送対応機器を普及させようかと頭を悩ませているところに、その受け皿に(ひょっとしたら)なりうる機器が圧倒的な売れ行きを約束された状態で現れたわけですからね。
iPodの下部にあるDock端子に接続するチューナーの開発に成功すれば、大きなチャンスになると思いませんか? iPodにはFM放送を聴けるiFMという接続機器が存在(日本では11月発売予定だったようですが…)していたり、Dock端子からデジカメのデータを取込む機器もあったりすることですし、全く可能性がないとは思えないです…。
2. テレビキャプチャハードウェア製造メーカ
当然、需要として「録画しておいたテレビ番組をiPodで見たい」というニーズも考えられます。日本ではテレビ機能を内蔵したWindowsマシンが数多くリリースされていますが、録画時のフォーマットにH.264も検討に入れるメーカも増えることでしょう。
注意点は、iPodに移すためにはパソコン本体にその動画のファイルがないとならないので、PSP対応録画機器のように「メモリースティックに録画しておいてくれる」という専用機ではパソコンへファイル移動するという手間がかかることになります。ホントは、専用機で録画してiPodで持ち歩ければいいんですけれどもね。
3. 放送局
今回、Steve Jobsが最後にとっておきの発表をする時に使うフレーズ"one more thing"として挙げたのが放送した番組をiTunesで翌日に買えるというTV Show。アメリカのABC放送における人気ドラマに限られているようですが、これは放送関係者には衝撃の走る発表だったのではないでしょうか。
現在、地上波放送番組を録画機器でiPodに移した場合は、放送局には1円も入りませんが、放送後の番組をiTunesで配信してしまえば、CM以外からも収入が得られる可能性が出てきます。
試しにアメリカのiTMSからTV Showの番組を1話購入してみました。22分半の番組でしたが、ダウンロードは2分ほどで終了
コメディっぽいThe Suite Life of Zack & Codyにしました
残念ながらところどころしか英語は分からないのですが(号泣)、ハッキリ言って私はパソコンでこれを楽しむ分にも十分な画質という印象を受けました。
#小さな画面用だとバカにしていられませんよ、ホントに
1話あたり1.99$は、結構手頃な値段ですね。音楽2曲分で24分近く動画を楽しめると思ったら…、おぉ、かなり得。
語学講座、バラエティ、ドラマ、放送局にとってチャンスとなるコンテンツはいくらでもあると思います。
今回のiPodの発表は、映像を作れる人に大きなチャンスを与えることになりました。
Appleは慎重な姿勢ですが、映像業界にとってかなり大きな転換になると私は感じています。
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Comments
どうしよう。。。。
どんどんついていけない世界になっていくような気がします。。。。
欲しいけど、使いこなせるかが心配です。
抜けたコメントですみません・・・
Posted by: コングBA | 2005.10.15 01:15 PM
>コングBA様
構えることはないんですよ。パソコンにiTunesを入れればそれで分かると思います。
音楽を楽しむという基本に動画も付いてきただけです。ここから先の楽しみ方は未知数ですしね。
それにしてもiPod。切り開く力の凄さが違いますね…。
Posted by: Solid Inspiration | 2005.10.16 12:35 AM
また、とことん何かを勘違いした商品を出しますね・・・。
小さい画面でドラマとかを見て何が楽しいのでしょうか?
利用価値としては皆無な商品としか言いようがないです。
強いて言えば、画面の大きさは意外とどうでもいいニュースの視聴くらいしか無いと思いますが、ニュースをわざわざ課金してまで見たいと思う人はほとんどいないのではないでしょうか?それ故に、全く無意味な商品としか言いようが無いですね。たとえば、IPODのデバイスぎりぎりまで液晶を広げたものであるなら、まだ利用価値はあるでしょうけど。
今のままの戦略で行くと、IPOD事業はいつか見放されると思います。
古き良きマッキントッシュの製品の良さに比べ、最近のマック(iMacとか)の勘違いした製品は悲しくなってきます。9年前のマックですら、今のwindowsと比べて古さを感じさせないような製品を出していたのに・・・残念でなりません。
Posted by: みさき | 2005.10.18 01:31 PM
NHKのアーカイブスが出て来たらと思うとのけぞりますね。
Posted by: kitchom | 2005.10.18 07:39 PM
>kitchom様
そうですよね…、考えてみれば貴重な映像資料がたくさん!
コンテンツの解放を願いたいですね。
Posted by: Solid Inspiration | 2005.10.18 10:35 PM