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2005.08.05

iTunes Music Store Japan という"記念樹"

 Macユーザにはおなじみの言葉に"エバンジェリスト(伝道師)"というものがある。本来は文字通りキリスト教の伝道師のことなのだがそれが転じ、"Macに魅せられ、その良さを多くの人に伝えていく人々"をさす。まぁ、今となっては"余計なおせっかい"と揶揄されることが多いのだが(苦笑)。

 そんな多くの熱狂的信者を多く持つ"神"と呼ばれる男が、2005/08/04 10:00 東京国際フォーラムの基調講演のステージに立った
動画



音楽のエバンジェリストとして




 待ちわびた人はたくさんいた。



 それなのに、日本では2年半もかかった。



 おだやかな笑みを浮かべながら、聴衆に語りかけるApple社CEO スティーブ・ジョブズは、その空白の時間の意味を誰よりも知っている。

 だからこそ、思った。

 いつかは当たり前のように生活に溶け込み、そのありがたみを忘れてしまうはずだ。それはとても嬉しい未来だけれども、誰かがここに記しておかないとならない。




 ジョブズの時間を。



 彼の信念を。



iTunes Music Store JAPAN

いよいよスタート


日本も本格的な音楽配信の時代へ




 時間はさかのぼる。

2003/03/06
アップルが音楽ダウンロード・サービスに進出か
サービス開始直前の記事。アメリカの各レコード会社をジョブズ自身が説き伏せてまわっていたことが伝えられている。極端な著作権保護技術では誰も使わない、楽しめないものを提供しては音楽は広まらないというスタンスが既に確立されていた。

 カリフォルニア州サンノゼ発——米アップルコンピュータ社と複数の大手レコード会社が提携し、今後数週間のうちに有料会員制のオンライン音楽サービスを開始する見込みだと、エンターテインメント業界の情報筋が伝えている。

(中略)
 同記事によれば、アップル社のスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)が、十数社ものレコード業界幹部の前でサービスをデモンストレーションしたという。

(中略)
 米ユニバーサルミュージック・グループ社と米ソニー・ミュージックエンタテインメント社が共同設立したプレスプレイ社は以前からずっと、マッキントッシュのユーザーに対応するサービスに興味を示していたと述べている。しかし同社によると、アップル社は、消費者が楽曲をダウンロードしてCDを作成するのを防止するデジタル著作権管理技術の導入を拒否していたという。


2003/04/29
アップル、iTunes Music Storeをスタート(Appleのニュースリリースより)
音楽において、"一番考えなければならない人たちのことを考えている"ことが端的に現れている言葉。

(中略)

「消費者は犯罪者のように扱われることを好まないし、アーティストは価値ある作品が盗まれることを望んでいません。iTunes Music Storeは両者にとって、まったく新しいソリューションとなります。」と、アップルのCEO(最高経営責任者)、スティーブ・ジョブスは述べています。

2003/10/16
アップル、ウィンドウズ向け『iTunes』を発表
"AppleがWindows向けのソフトを出す"、という前代未聞のことまでやってのけて、ついにiTunes Music Storeは本格的な音楽配信サービスとなった。この時のジョブズの歴史的名言。

 「われわれは違法ダウンロードと戦う。訴えるつもりも、無視するつもりもない。競争するつもりだ」


2004/04/18
アップル、iTunesでの楽曲値上げの噂を否定
レコード会社からの値上げ要求のプレッシャーも想定の範囲内だったのか。値上は一蹴したが、それを上回るペースで音楽のダウンロード配信は伸び続ける。そして、この年アメリカの音楽売上は3年ぶりに上昇することとなった。


2004/06/28
ヨーロッパに進出した『iTunes』、悩みはインディーズ・レーベルの不参加
iTMSはついにヨーロッパへ。第一弾はイギリス。


 さて…




日 本 は ど う な っ て い た の か

 決して忘れてはならない。"著作権"と言う言葉を振りかざした"利権者"のことを。




JASRAC、平成14年度業績説明会を開催。CDが減少、着メロが伸張
-日本でのiTunes Music Storeの展開には疑問を呈す

 質疑応答では、Appleが米国で開始した音楽配信サービス「iTunes Music Store」についても触れられたが、「アメリカでも完全に(法的に)OKというわけではない。5人がクローズドな環境で聞くということだが、制限を回避するソフトも出てきているようだ。また、日本ではいわゆる送信可能化権というのもあるので、日本で同様な事業が始まった場合は、音源を提供する事業者がそれに同意できるかという問題もある(加藤衛理事)」という。


「iTMSも日本のルールで」――JASRAC、ネット配信に期待

「相互理解」とは、“iTMSも国内の配信事業者と同じ条件でサービスを行っていく”という意味で理解して良さそうだ。「ダウンロード型ならば、1曲あたり7.7%もしくは7.7円の使用料を徴収するというルールはいかなる事業者においても変わらない」と菅原氏もコメントしている。iTMSは比較的ゆるいDRMが特徴だが、菅原氏は加えて「ダウンロード型ビジネスで大切なことは、コピーコントロールの問題をクリアにすること」とも述べており、iTMSが既存の国内サービスと同等のDRMを備える可能性も否定できない。


ユーザー置き去りの著作権攻防戦

 日本でも多くの人が待ち望むiTMSだが、一向に始まる気配がない。なぜか。

「今のiTMSのデジタル著作権管理では曲を提供できません」

 と、ある大手レコード会社の関係者は断言する。最大の障害はCD-Rに記録できることだ。現在、日本では大手を中心に11のレコード会社からコピーコントロールCD(CCCD)が発売されている(日本レコード協会調べ)。MDには曲をダビングできるが、パソコンやCD-Rなどにはコピーできない。CCCDを出す一方で、CD-RにコピーできるiTMSに曲を提供するのは自己矛盾というのだ。


JASRAC、CCCD廃止の流れに疑問を提示~船村徹会長ら新役員が会見

 このようにJASRACが違法コピー対策を強化する一方で、レコード業界では、著作権保護意識も高まり、一定の成果があったとしてコピーコントロールCD(CCCD)廃止する動きがあるが、この点についてJASRACでは「(著作権保護の)認識が高まったから、あるいは当初の目的を果たしたからCCCDを止めるというのは、苦渋はわかるが、JASRACではそうは思っていない」(加藤衛常務理事)と疑問を示した。


「iPodなどを私的録音補償金制度の対象に」JASRACなどの7団体が声明
※この会見で持ち出したベルヌ条約は全く的外れな指摘であったことが判明。(川内衆議院議員の正々堂々blog2005/08/032005/08/04より)

 さらに、第1項と第2項で日本が批准する国際条約であるベルヌ条約を満たしているとして、「iPodなどのデジタルオーディオプレーヤーが私的録音補償金制度の対象として認められないのであれば法理としてバランスをとるべきだ」と説明。デジタルオーディオプレーヤーを私的録音補償金の対象として認めない場合は、ベルヌ条約などの国際条約に違反しないためにも著作権法第30条そのものを見直す抜本的な改革が必要になる可能性もあると示唆した。






 彼らには、いまだに分かるまい。



 目の前のそんな利権にしがみついているだけの人間が、信念のあるジョブズにかなうはずがない。



 昨年のガン摘出手術を乗り越えたジョブズが、スタンフォード大学の学生を前に語った言葉。
スティーブ・ジョブスのスピーチ(PLANet blog様の名訳より)
 今から1年ほど前、私は癌と診断されました。 朝の7時半にスキャンを受けたところ、私のすい臓にクッキリと腫瘍が映っていたんですね。私はその時まで、すい臓が何かも知らなかった。
 医師たちは私に言いました。これは治療不能な癌の種別である、ほぼ断定していいと。生きて3ヶ月から6ヶ月、それ以上の寿命は望めないだろう、と。主治医は家に帰って仕事を片付けるよう、私に助言しました。
(中略)

 君たちの時間は限られている。だから自分以外の他の誰かの人生を生きて無駄にする暇なんかない。ドグマという罠に、絡め取られてはいけない。それは他の人たちの考え方が生んだ結果とともに生きていくということだからね。その他大勢の意見の雑音に自分の内なる声、心、直感を掻き消されないことです。自分の内なる声、心、直感というのは、どうしたわけか君が本当になりたいことが何か、もうとっくの昔に知っているんだ。だからそれ以外のことは全て、二の次でいい。






 ジョブズは、iTMS JAPAN開始を宣言するにあたって、こう言ったそうだ。
「アップルは日本を愛している。iTunes Music Store日本版は、日本のために日本で作られたサービスだ」




 ジョブズ、あなたにはどんな感謝をしてもしたりない。

 同じ日本人として、こんなに苦労をかけさせてしまったことを申し訳なく思う。

 日本を、音楽を愛してくれて本当にありがとう。




ありがとう

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Comments

ほんとに、この国では消費者が損をしていると思いますね・・・彼らには、僕らが iPod を手にして、どれだけ音楽に回帰したのかわからないんですよ・・・なぜなら、彼らは音楽ファンでも心から音楽を楽しんだことも無いと思うから。
それでも、音楽は楽しいですよね。ほんとに。

Posted by: nagoyan | 2005.08.05 at 01:24 PM

いやはや、かっこいい記事です^^
こうやって時系列で読んでいくと、何と言うか、iTMSが始まった今、妙に感慨深いですね。
熱狂的になっている反面、ホッとした安堵感ていうのを感じています。
でも、これからが本当の勝負ですね^^

Posted by: ★TAK | 2005.08.05 at 07:32 PM

本当に熱くてCOOLな記事です!

日経にて、堂々としたジョブス氏の姿を見つけて喜んでおりました。

まずはiPodを確保だ・・・。
そろそろMDがやばいそうなので(何か嬉しかったりする)。

Posted by: コングBA | 2005.08.05 at 10:30 PM

この事で、音楽が本当に身近になったと強く感じられている方も沢山居る筈ですね。Appleのこの功績(と影響?)は極めて大きいと感じています。

Posted by: Algernon | 2005.08.05 at 10:44 PM

皆さん、コメントありがとうございました。遅くなりました…。

>nagoyan様
iPodが呼び起こしてくれた音楽の楽しさって大きいですよね。Apple(特にジョブズ)は本当に音楽が好きなんでしょうね。だからこそ、誰が使っても楽しめるものになったんだろうと思うんです。

>★TAK様
今後の充実が待たれますね。でも、本当によく頑張ってくれましたね。150円という価格は無理だろうと思っていましたから…。

>コングBA様
たしかOSを以前Windows2000にされたというお話でしたので、早速iTMSを触ってみていただきたいです。楽しめる要素がいっぱいで、時間を忘れてしまいますよ(笑)。

>Algernon様
昨日は、職場で涙が出そうでした。本当に、いい仕事をしたと思いますね、Apple。それにしても、Macユーザにはアツい1週間でした(笑)。

Posted by: Solid Inspiration | 2005.08.06 at 02:57 AM

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