老いを晒し者
以前取り上げたiPodへの課金問題を審議していた「文化審議会著作権分科会の法制問題小委員会」は中間報告がまとまらず継続審議となったそうです。
iPod課金は継続審議 文化審、中間報告作成を断念(asahi.com)
iPodなどの携帯デジタル音楽プレーヤーを私的録音録画補償金の対象に加えるかどうかを議論している文化審議会著作権分科会の法制問題小委員会は28日の会合で、来月末までにまとめる予定だった中間報告の作成を断念し、継続して審議することを決めた。1台500円程度の課金が想定されていたが、制度自体の問題点が指摘され、賛否が分かれたため。9月上旬までに、審議経過を集約して結論を明記しない報告書を作り、これをもとに国民から意見を募集する。
賛否が分かれたというよりこの制度そのものの裏側にある小汚い利権がズバズバと突かれたことに困り、とりあえず負けないうちにいったん逃げたように見えるのは気のせいでしょうか(苦笑)。
ちなみに、記事の後半にはこうあります。
一方、日本音楽著作権協会や日本レコード協会など音楽関連の7団体は会合後に合同で会見し、携帯プレーヤーへの課金を速やかに決めるよう訴えた。「携帯プレーヤーは数万曲も録音でき、権利者が失っている利益は計り知れない」「著作権について定めたベルヌ条約に違反する」などと課金の必要性を強調した。
この会見の内容については「速やかに「iPod課金」を——音楽関係7団体が強く要望(IT Media)」に詳しいようです。
反対論者から指摘される「DRMがあれば補償金は不要」「補償金制度は二重取りだ」「補償金の分配が不透明だ」という意見については、「DRMと補償金制度は共存すべき」「音楽配信やレンタルに関する権利者許諾範囲と、私的録音の範囲は重複するものではない」「平成15年を例にあげれば7343人の実演家に平均5万5693円が分配されており、決して少ない額ではない」と反論、政令指定の必要性を重ねて訴えた。
…いろいろ考えたんでしょうね(苦笑)。でも、どうみても苦しい言い訳にしか思えないんですよ。特に、「DRMと補償金制度は共存すべき」に至ってはそもそもの前提がなくなっているだろ!と突っ込みたい、いやホントに…。
しかし、なんで著作権を訴える音楽関連の団体が7団体もあるんだろう。"お年を召した"方が言う"創作"という言葉に思いっきり疑問符です。この方々って、いったいどんな方なのでしょうね? 一番肝心なミュージシャン本人たちが誰か同席してそう訴えますかね?
なんだか、少しずつではありますが彼らの思い通りにならないようになってきつつある流れを感じます。希望的観測ですが。
しかし、「法的にどう対応するかはまだ議論が必要である考えている。しかし、現行法で指定できると考えている」(音楽製作者連盟 上野博 常務理事)と政令指定への自信を示しており、指定を目指す時期についても「できるだけ速やかに対象に含めるて欲しい。現在決まっていないのが遅すぎるぐらい」としている。
絶対に彼らには負けたくないですね。
(2005/07/22朝 追記)
文部科学省のサイトで前回の文化審議会著作権分科会法制問題小委員会(第5回)議事録 が読めます。かなり長いですが、委員の指摘・それに対する回答などが分かります。それにしてもとにかくiPodという固有名詞が踊っています(笑)。
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Comments
わたしでさえ 「iPod」の記事に
目が行くようになりました
著作権のことは
カラオケがブームになった時も
色々 揉めていましたよね。
もう少し スッキリしたシステムが
立てられないものでしょうか・・・ね。
Posted by: 冬薔薇 | 2005.07.29 at 09:17 AM
本当の意味での著作者とは掛け離れた所で話が進行している、という印象をずっと持っていましたが、意見を募集する時に、不正な意見募集だけはして欲しくないな、って思いますね。
Posted by: ★TAK | 2005.07.30 at 04:15 AM
>冬薔薇様
皆さん、その音楽そのものに既にお金をちゃんと払っているわけなんですよ。でも、なんで買った本人が"聴く"という楽しみをしようとしたらさらにお金が必要なんでしょうね。
払う相手の顔が見えないだけに(しかもミュージシャンでもない)余計に納得できないんですよね。もっとみんなで考えてほしいですよね。
>★TAK様
今回のパブリックコメントは輸入権の時よりももっと強くがんばりたいです。それまでに、iTMSは始まっていそうな雰囲気ですが。
Posted by: Solid Inspiration | 2005.07.30 at 09:49 AM