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2005.07.01

iPod課税(追記あり)

 now and then様の「"iPod課金"委員会〜里中先生の意見がわかりやすい!」より、先日のiPod課金を議論する法制問題小委員会(第5回)の資料が閲覧できることを知りました。これは、現在MDなどにかけられている私的録音録画補償金を、急速に普及しているiPodをはじめとしたハードディスク型のプレーヤーにも導入するかというものです。

zfyl 著作権分科会 法制問題小委員会(第5回)

 ニュースでは、意見が分かれてまとまらなかった(ただ、最終的には導入されそうなニュアンスが報道文面から感じられるのは気のせい?)と報じられていますが、「私的録音録画補償金の見直し」に対する法制問題小委員会各委員提出意見を見るとたしかに割れていますね。

 ただ、賛否の意見をよく読むと賛成意見の根拠が

・音楽が録音されているから
・MDなどで導入されているのならば公平性の観点から必要

という主張なのに較べ、反対意見のほうが雄弁、かつ鋭い指摘が多いように思われます。そもそもこの私的録音録画保証金制度そのものが必要なのかどうかという意見も。

参考までに、賛否両論の意見を一部ピックアップします。

(課金賛成)

専用機については、追加指定を検討すべきである。公平性の観点からである。
(末吉 瓦氏)

現行制度を前提とする限り、上記機器などは、指定の典型的機器というべきであって、除外のままで放置することはできない。政令で指定するべきである。
上記機器などは、ユーザーがインターネット音楽配信サービスから音楽コンテンツの提供を有料で受けることから複製の対価を支払うことを理由として、本保証金制度の適用を免れるべきであるとの主張があるが、CDからの複製を制限する技術を導入しておらず、この複製が存在することは明らかであって、他の機器と分ける事情はない。

(松田 政行氏)



(課金反対)
1.ハードディスク内蔵型録音機器等については、録音録画以外の機能(たとえばスケジュール管理)をも有してはいるものの、少なくとも形式的には法30条2項による課金対象危機に該当しうる。

2.ただし、結論的には、これらの機器を政令により課金対象として追加すべきではない。本制度は、もともと個別管理までの「踊り場」として理解すべきものであるが、平成5年の制度導入時点以降、技術環境は変化している。第一に、コピーワンス(コントロール)機能によって、私的録音・録画された副生物の「拡散」を防止することが今や可能であり、課金制度の導入を支えた論拠の一つが、もはや失われていること。第二に、ネット上での音楽配信ビジネスが本格化しており、かりに、これらの機器自体に課金してしまうと、消費者は、機器の購入およびダウンロードの「二重徴収」にさらされるおそれがあること。

(小泉 直樹氏)
パッケージからネットワークへの移行は急速に進みつつあり、ネットワークの技術的保護手段の開発スピードからして、本制度は段階的に縮小するとともに、定期的に見直して、廃止することも視野に入れるべき。
(浜野 保樹氏)
本保証金制度は、下記④に後述するとおり、多くの基本的問題を内包しており、廃止も含めて制度自体の根本的な見直しが必要である。このような状況にある制度に対して、基本的議論をすることなく、機器の追加などにより制度の肥大化を測ることは、制度自体の見直しを遅延させることにも繋がりかねないため、政令による追加指定は不適切である。
また、追加の候補に挙げられているiPodについては、「携帯できる外付けHDD(Hard Disk Drive:外部記憶装置)」として利用することが可能であるため、汎用機器と解される(http://arena.nikkeibp.co.jp/col/20050607/112417/)。したがって、録音専用機器と解すことは事実誤認であり、政令による追加指定は不適切である。

(山地 克郎氏)


ふと思い出されるのが、第二のビールと呼ばれた発泡酒、そして第三のビールなど、ビール会社が開発した低価格ビールに次々と課税をしていき、消費者の反感を買ったできごと。

金が取れるところからどんどん取ってやれというスタンスが見え隠れして…ね。

(07/01追記)
コメントに寄せられた「ウラ漢汁」のあらびー様のご指摘に大変興味深い記事がありました。

ほとんどの消費者が知らずに払っている「私的録音録画補償金」

 意外に思われたのが、この私的録音録画補償金制度は経産省と文化庁の共同によるものであること。しかも経産省のスタンスとしては既に

 経済産業省としては,2005年4月中に公表する予定の「情報経済・産業ビジョン」の中でも述べているように,私的録音録画補償金制度について「技術的保護手段」の進展などを踏まえ,可能な部分からすみやかに見直す予定だ。例えば,補償金制度に替わる予算制度の活用なども視野に入れつつ,制度の縮小・廃止などに向けた検討を開始すべきだと認識している。  「著作権の管理・保護」は重要な課題だ。その反面,情報家電が普及するデジタル社会においては,コンテンツの円滑な流通を確保するとともに,「デジタル社会の恩恵を最も大きく受けるべき消費者・利用者の利便性」を尊重しなくてはならない。現行の「私的録音録画補償金制度」も含めて,著作権法の制度全体が,双方の適正なバランスに基づく仕組みに1歩でも近付くように,関係者による不断の努力が今後とも必要である。

 廃止すべきという認識があるんですね。

 と、なると頑強に抵抗している人たちの思惑が気になりますよね。ニオイませんか(笑)?

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Comments

TBありがとうございます。
たしかにビール業界の構図にも似ていますね。でも、これは国におさめる税金ではないというところがポイントではないでしょうか。なぜか業界団体が一番得をすることになってます。消費者が割を食うのは同じですが、ビール会社の立場とはまるで逆...。JASRACの取り立ては(?)は税務署並みに厳しいようですし、組織が「役所」的感覚なのかもしれないですね。

Posted by: raizo | 2005.07.01 at 11:58 AM

>reizo様
あ!わざわざコメントを頂き恐縮です…。大変に参考になるエントリーでした。教えていただけなければ、各委員の意見まで知りえませんでした…。
#上記の引用文は意見のPDFが画像だったので手打ちしました…(涙)

おっしゃるとおり、ビールと異なり国庫に入るお金ではないですね。ただ、徴収するのに法律という拠り所がある(義務付けられてしまう)ということからすると、消費者からすると同じ感覚にも思えますね(苦笑)。そのお金が業界団体に…、腹立たしいですね。

お金が動くところに群がられるような印象でイヤな感じです…。

Posted by: Solid Inspiration | 2005.07.01 at 12:39 PM

ビールに当てはめてもらって、理解が深まりました(情けない)。

私的と公的、このボーダーをしっかりするところから始まる話じゃないですかねぇ。iPodなんてまったくもって個人対応のものじゃないですか。ジャスラックだって日本の曲だけに限らずジャズにまで首突っ込んでくるでしょ。あれ、おかしい。大体団体の人間が作家の遺族からなっているわけですよね、日本人の。あぁ、それました。。。。
前から言ってますけど、だったら一曲ダウンロードするお金は、一体何の金だ!って詳細を激しく希望です。

Posted by: コングBA | 2005.07.01 at 01:37 PM

>コングBA様
本当に著作権者に渡っているかが不明ですし、中間で団体に抜かれているお金の使い道も不透明なんですよね。

デジタルコピーの制限ができなかった頃ならいざ知らず、今はできるわけですし存在意義が分かりません…。

Posted by: Solid Inspiration | 2005.07.01 at 02:50 PM

私も以前、この話を聞いた時にとても疑問に感じました、
結局のところ、イタモノ商売から抜け出る事無く、イタモノを中心に物事を考えてるから、こんな妙な理屈が出てくる訳ですね。音楽を「買う」とき、お金を払うのは、その音楽の制作に携わったアーティストに敬意をはらうからこそだと思っています。だからこそ、支払う必要が有る思ってますが・・・この話はまったく論点が違いますね、
最近、よくCDの売り上げが下がってきていると話題になってますが、PtoPソフトによる事も原因であるとは思いますが、それと合わせて、音楽の販売形態そのもの変革が求められている時代背景も、大きく影響しているのではと考えています。

Posted by: Algernon | 2005.07.01 at 07:31 PM

私的録音録画補償金はカネの流れがちょっと不透明なんですよね。
MDやCD-Rに課金されている補償金がきちんと著作権保持者に
行き渡っているか、はなはだ疑問です。

社団法人 私的録音補償金管理協会の天下り官僚の
懐に入っているのではないかと勘ぐってしまいます。

あと、この制度そのものが文部科学省(文化庁)と経済産業省(特許庁)の
縄張り争いに使われていますね。
↓は経済産業省側の言い分です。
http://chizai.nikkeibp.co.jp/chizai/gov/meti20050425.html

Posted by: あらびー | 2005.07.01 at 07:43 PM

>Algernon様
CDを買う、オンラインで音楽を買う、我々からすればこの時点で著作権者にちゃんと対価を払っていると思うんです。その音楽を持ち歩いて聴くだけでもさらにお金を取る、考えてみるとおかしな話ですよね…。私は新聞/書籍・CDの再販制度も撤廃すべきという論者なんです。おっしゃる通り、もう、時代は変わっていますもの。

>あらびー様
いつもながら、興味深い記事のご教授ありがとうございます。
#さすがです…

リンク先の記事を読んで驚いたのは私的録音補償金制度の運営に携わっている経産省は廃止を視野に入れているんですね!(この方の意見なのかもしれませんが)論旨としてはエントリーの中の課金反対意見である「小泉直樹氏」の意見に近いでしょうか。

そうなると、ますます中間団体に疑いのまなざしを向けたくなります…。

Posted by: Solid Inspiration | 2005.07.01 at 10:56 PM

出遅れました(苦笑)

はっきり言って「取れるところから取る」為の、「取る事を目的」とした制度だと思います。
CDの売り上げが落ち込んでいるとはいえ、音楽を聴く人口は増えているんですよね。それは何故か。
良く考えればおかしいことばかりです、
今こそブログの力を結集して、この疑問の波をぶつけてみるときなのかもしれませんね。

Posted by: ★TAK | 2005.07.02 at 03:25 AM

>★TAK様
今までだったら、こういう委員会の資料すら簡単には見られなかっただろうことを考えると、ネットの恩恵を感じずにはいられません。

もう、エセ著作権論者とは闘わないといけませんね。

Posted by: Solid Inspiration | 2005.07.02 at 09:19 PM

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