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2004.08.21

おじいちゃん、おばあちゃんへ

 今日は全くの身内話。

 先日の第1回オリンピック優勝者のスピリドン・ルイス選手の話を書いて、自分の敬愛する今は亡き祖父母の話をしたためておきたくなりました。

 身内自慢になってしまいそうなので、興味のない方はここまでで…。





 私の母方の祖父母は、身内の私が言うのもなんですが、品のあるとても優しいおじいちゃん、おばあちゃんでした。

 祖母が他界してもう20年、祖父が他界して9年の月日が経ちます…。






 祖母の告別式からしばらく経ったある日、伯母たちから、祖父母がなんと駆け落ち結婚だったことを聞かされました。当時の、しかも田舎からの駆け落ちですから、命がけであったことは想像に難くありません。

 母方の伯母たちは(母を含めて)皆、厳しく子育てをしている感がありましたが、その長たる祖父母がかくも破天荒な人生を歩んでいたということに、小学生だった私は大きな感動を抱いたものでした。

 駆け落ちしてきた直後の祖父母の生活は困窮を極めていたそうです。二人の食器はお茶碗たった一つ。祖父がそれでご飯を食べ、器が空いてから祖母が食べるといった毎日…。

 そんな生活がたたり、祖父は肺結核を患います。徴兵検査でも追い返され、病気のまま終戦。幸い、病からは一命を取り留めることができましたが、国全体が大変な時代でした。

 祖父は証券会社で営業として働き始めます。今でこそ立派な大手証券会社となりましたが、当時の社会的ステータスは低く、大変苦労したそうです。母曰く、"午前零時より前に帰ってきたことがなかった"とか。
#背広の胸ポケットには常に辞表が入っていたといいます

 熱心な働きぶりが実を結び、各地方都市を支店長として歴任、東京支店(本店)長まで務めあげます。尋常小学校卒(現在の中卒)としては異例の出世だったそうですが、残念ながら役員にまではなれませんでした。
#そのためか、孫たちは全員大学に行かされます(笑)。

 そんな祖父を支え続けた祖母は、厳しかったという母の言葉が信じられなかったくらい私には優しいおばあちゃんでした。孫が泣けば一緒に涙していたのも祖母。小学校2年の時、あまりにも厳しい母に嫌気がさし家出をした私を探しに飛んできて、空き地の物陰に隠れていたところを見つけ出したのも祖母。慈愛に満ちた姿は今でも脳裏に焼き付いています。

 祖母を失った晩、祖父は寝室で「俺はこれからここで独りで寝るのか!」と号泣したそうです。書家として晩年を過ごしましたが、趣味に打ち込むことで寂しさを紛らわせようとしていたかのようでした。

 偉大な祖父母の遺伝子を欠片も継げなかった私ですが、一生を共に過ごせる人と巡り会えたのは、愛情に満ちあふれた祖父母の姿を見てきたおかげと感謝しています。

 インターネットでたとえ世界がつながるようになっても、天国の祖父母まで届ける術はまだありませんが…

 ありがとう、おじいちゃん、おばあちゃん。

 明日、両家会食です。









#祖父が勤めていた証券会社に従兄が内定した時の話。

 内定後、"実は祖父が昔、こちらに勤めておりまして…"という話で名前を伝えておいたところ、支店長にあたる人が青くなって飛んできたそうです。
 祖父は最後の数年、社内監査部門にいたらしく、上の人が名前を覚えていたんだとか。

 従兄曰く

 "おじいちゃんの名前、古い人が震え上がるらしいんだよね(苦笑)"

 祖父の名を汚してはいけないと、結局やめたそうです…。

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Comments

感涙。

Posted by: コングBA | 2004.08.21 04:54 PM

>コングBA様

 身内話におつきあいいただきありがとうございました…。

 祖父が亡くなる数ヶ月前、夢を見ました。まだ若く凛々しい祖父が幼い母を連れ、見事な桜が続く神社の階段を闊歩する夢でした。

 その時、祖父の死を覚悟して泣きながら起きたのを覚えています。同時に、夢とは言えあれほど美しい桜吹雪を見たことは今に至るまでありません。

 夢でももう一度会いたいです。

Posted by: Solid Inspiration | 2004.08.21 09:35 PM

Soloidさん、それは凄すぎる夢ですね!
おじいさまもそんなにお孫さんに慕われていたらきっと天空で喜んで見守って下さっていることでしょうね。
身内の話、結構じゃないですか!
お分かりだと思いますが、専門的な内容の時はコメントを差し控えさせて頂いてます(トホホ)
いい話をありがとうございました。

Posted by: コングBA | 2004.08.22 08:35 AM

なんどもすみません、お名前、誤字しました。
申し訳ない!

Posted by: コングBA | 2004.08.22 08:36 AM

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