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2004.08.21

オリンピックで思い出すこと_02

 オリンピックで思い出すこと第2弾です。おそらく、それを見た誰もが一生忘れられないシーンだとは思いますが…。

 オリンピックは勝者を決める大会です。世界中からトップレベルの選手が集結し、覇を競い合います。だからこそ、それを制した勝者は記録にも記憶にも刻まれるのでしょう。

 でも、記録には残らずに全世界の記憶に残った選手もいるのです。

 この方を挙げずにはいられませんよね。

 1984年のロサンゼルスオリンピックに、新種目として初めて女子マラソンが加わりました。その記念すべき最初の優勝者の名前よりも、一番最後にゴールインした選手の名前の方が長く語り継がれることになるとは誰も想像だにしていませんでした。

 ロサンゼルスオリンピックのマラソンは過酷の一言。金メダルを確実視されていた日本の瀬古利彦選手ですらまさかの失速。想像以上の暑さに、過酷なトレーニングで疲労が蓄積されていた体が持たなかったためでした。

 スイスのガブリエラ・アンデルセン選手(当時39歳)にとっての不運は、この暑さが想像以上だったことと、給水ポイントで前の選手がアンデルセン選手のボトルを落として給水できなかったことだそうです。

 熱中症となり、フラフラとなりながらもひたすらゴールを目指すアンデルセン選手。

 スタジアムに入ってきた彼女を観た観衆は騒然となります。それはもう、アスリートとしての姿ではなく瀕死の重傷人でした。

 助けに駆け寄る係員に強く首を横に振るアンデルセン選手。係員が差し伸べた手に体を委ねた瞬間、彼女は失格となるのです。それを拒否し続け、一歩、また一歩と進みます。

 残りはあとトラック1周。彼女は既に意識も朦朧とし、真っすぐ歩くこともままなりません。

 それでもゴールまでの歩みは止まりません。係員もジレンマに陥っていたことでしょう。誰だって彼女が相当に危険な状態であることなど分かっています。
#英雄扱いしたメディアに対する批判もありました。


 でも、壮絶な彼女の闘いには誰も立ち入れませんでした。世界中が、人間の踏み入れられない領域というものを目の当たりにさせられていた瞬間だったのではないでしょうか。

 最後の直線、彼女は蛇行し始めます。何度も倒れそうに…、それでも必死に踏みとどまりながらゴールまでの距離を少しずつ縮めていきます。

 ゴールラインを越えた瞬間、係員の胸に崩れ落ちるアンデルセン選手。

 あとはご自分の目頭に聞いてください…。

※正確な記事はこちらこちらを参照ください

 ハッキリ言って


 フランダースの犬のラストシーン級


 です。何度見ても涙が出てしまう…。

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Comments

フランダースはダメ!です。あれは卑怯。絶対泣く。あぁ、長くなりそうなのでその犬はやめておきます。
そうそう、棄権した増田明美が彼女の映像を見て、さらにつらくなった、と語っていたのが印象的でした。棄権を決意した勇気と、最後まで走りきった勇気、どちらもすごいことだと思います。
なんでもそうですけど、美談や流行モノにケチをつける人っていますよね、私が冬ソナをメタクソに言っているように・・・

Posted by: コングBA | 2004.08.21 01:59 PM

>コングBA 様
 そうでした、増田選手は棄権したんですよね。マラソンは本当に過酷な競技ですよね。

 アスリートの苦悩って、とても高いところにあるんだなぁと今更ながら思わされます。

 物事を多面的に論じることは大事ですよね(笑)。残念ながら冬ソナは見たことがないのですが、彼女が先日DVDで"牡丹と薔薇"を見たらしく、食事するたびに熱く語られています…。

 最初、"豚バラが何だって?"と聞き返し怒られたのは秘密…(泣)。

Posted by: Solid Inspiration | 2004.08.21 04:38 PM

はじめまして。私のブログの運動会の記事で、アンデルセンさんの話題が出たものですから、知らない方のために、コングBAさまのブログ記事のURLをリンクさせていただきました。あのときの様子を、とても分かりやすく、感動的に書いてくださっていたものですから、思い出して、またまた胸を熱くさせられました。
どうもありがとうございました。http://blogs.yahoo.co.jp/yume_kotorixx/37371676.html

Posted by: 夢小鳥 | 2006.06.05 06:40 AM

 私もこの名場面を覚えています。
 私のあの時小学5年生でした。。。

 今でもこの場面を見ると涙が出てしまう。
 自慢じゃありませんが、私は彼女が書いた本、

 「メダルなき勝利!」を持っています。

 この本で彼女の人生を知ることができます。

 毎回のオリンピックの度に彼女の話が出る事自体がすごいと思う。
 それだけ彼女は私たちに大きな感動を残してい っていると思います。

 いつまでも人々の記憶に残って欲しい名場面です。

Posted by: watermark | 2006.12.08 07:09 PM

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